ポンコツ先生の自己満へそ曲がり国語教室

(高校受験には全く役に立たない)中学校の国語に関する話題を中心に書いてます。

太宰治「走れメロス」についてのあれこれその⑦

小説は、大抵何らかの変化を書くもので、前回述べた内容を使うならば、走れメロスは「人間不信で顔面蒼白になったディオニスが、人間らしさを取り戻して羞恥で赤面する物語」とまとめることができるかと思います。同じくメロスで言うならば、「激怒で赤面したメロスが、羞恥で赤面して終わる物語」とまとめることができます。90%の先生が触れるであろう、この物語全体を通じてのイメージカラー「赤」の意味することを考えていくのは、メロスの読み込みに非常に大事な要素となります。物語の順番に拾っていくと・・・

・メロスは激怒した。・妹は頬を赤らめた。・歓喜に酔っているらしい花嫁・花婿はもみ手して、照れていた。・日は既に西に傾きかけている。・午後の灼熱の太陽が〜・真紅の心臓をお目にかけたい。・愛と信実の血液だけで動いているこの心臓・斜陽は赤い光を木々の葉に投じ、葉も枝も燃えるばかりに輝いている。・二度、三度、口から血が噴き出た。・塔楼は夕日を受けてきらきら光っている。・赤く大きい夕日ばかりを見つめていた。・まだ日は沈まぬ。・日はゆらゆら地平線に没し、まさに最後の一片の残光も消えようとしたとき・刑場いっぱいに鳴り響くほど音高くメロスの右頬を殴った。・メロスは腕にうなりをつけてセリヌンティウスの頬を殴った。・顔を赤らめてこう言った。・一人の少女が、緋のマントをメロスにささげ。・勇者は、ひどく赤面した。

これ以外の色といえば、最初の夜の町の「黒」と宴会の時の黒雲、暴君の蒼白な顔くらいでしょうか。やはり圧倒的な赤のイメージの強さが目立ちます。

(蛇足ですが、メロスとセリヌンティウスがお互いに刑場で殴り合った時、生徒の中には意外に「グーパンチ」で殴ったイメージを持つ生徒が多くいます。刑場いっぱいに響くほどのグーパンチなら、頬が腫れるどころではなく、メロスが失神して話が終わってしまいますから、ここは平手打ちと考えるべきですが、「殴る」という言葉のイメージは、生徒にとっては「グーで」なんですね。)

さて、いよいよメロスの読解の心臓部である、「ディオニスはなぜ改心したのか」ということについての「自己満へそ曲がり流読解」に移ります。以前にも述べた通り、単純に「メロスとセリヌンティウスの熱い友情、人と人との信実に感動したから」ではなく、「メロスが裸だったから。」という読解について書かせてもらいます。

まず、原典と「暴君ディオニスは、群衆の背後から二人のさまをまじまじと見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、顔を赤らめて、こう言った。」の箇所の改変について考えます。原典ではディオニスは刑場にはおらず、顔を赤らめてもいません。当然太宰は何らかの意図を持って①ディオニスを刑場で実際に見聞させ、②赤面させた、ことになりますが、その改変の意図を考えた時に、自己満へそ曲がり流読解では、以下のように考えます。

その①ディオニスを刑場に居させた理由は、ディオニスに二人の様子だけではなく、刑場に集まった群衆の反応を見せさせたかったから、だと思います。つまり、メロスはギリギリ間に合ったわけですから、本来であればこの後、王はセリヌンティウスを放免し、メロスをはりつけにしなければなりません。ところが群衆は、あっぱれ、ゆるせ、と口々にわめくわけです。さすがに暴君とはいえ、この状況では「はいはい、でも約束だからメロスははりつけにしますから〜残念❤」とは言いづらい。そして何より、おそらく王はもうそろそろ人を殺すのに飽き飽きしていたのではないか、と思われるのです。「暴君はおちついてつぶやき、ほっとため息をついた。「わしだって、平和を望んでいるのだが。」の表現あたりに、その片鱗がうかがえます。ディオニスは人の心理を、ひいては場の空気を読む能力に長けています。だから、約束通りここでメロスを処刑することと、これを機会に人殺しをやめることを天秤にかけて考えたのでしょう。逆にいえば、もし人殺しをやめるなら、この機会しかない。だが、自分は王として負けを認め、約束を違えてメロスを許すことになる。それはかなり恥ずかしい。

その②負けを認めることは、王としては威厳が下がってしまう、かなり恥ずかしいことだから、顔を赤らめて告白します。ただ、その「王としての威厳がだだ下がる恥ずかしさ」を乗り越えさせ、赤面しながら和解を申し出ることにした理由こそが、何度も述べてきた「メロスが裸だったから」なのです。「やってきたメロスが、口元や胸が血だらけで、服がボロボロでほとんど素っ裸の、果てしなくみっともない姿だったから。」なのです。つまり、「自分の何倍もみっともない、恥ずかしい姿をさらしているメロスがいて、なおかつその姿を群衆が『尊い』と感じているからこそ、自分も恥を忍んで和解を申し出ることができた」のです。自己満へそ曲がり流「ディオニスが改心したのは、メロスが裸だったから。」とはこういう意味です。ここでちょっと想像してみてください。「もしメロスが全然トラブルに遭わず、日没よりはるか前に、きれいな格好で刑場に現れ、メロスが思った通りに高らかに笑いながらはりつけの台に登って、かっこよくディオニスに『さぁ私を貼り付けにしろ』と言ったら?」どうなるでしょうか。

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果たして太宰版のディオニスは原典のように、素直に「負けた」と認めて改心するでしょうか?私はディオニスはむしろ「ぐぎぎぎ」と腹を立て、さらに意固地になり、約束通りメロスを処刑し、さらに暗黒面の深いところに入っていくとしか思えません。メロスが格好良く颯爽としていれば、ディオニスも威厳を保ち格好つけるしかなくなります。メロスがみっともなかったから、ディオニスも恥ずかしい振る舞いをすることができたのです。

長くなってしまいました。この件については、もう少し付け加えることがありますが、それはまた次回。よろしければまたお付き合いください。

太宰治「走れメロス」についてのあれこれその⑥

以前このシリーズで書いたように、太宰はディオニスを、原典通りの「リアルガチ暴君」→改心、という流れではなく、善良→闇堕ち→善良、という意識の変化に書き改めました。また、メロスについても、原典通りの「徹頭徹尾神の加護を得た勇者」ではなく、ディオニス同様善良→闇堕ち→善良、の意識変化で揃えています。で、前回予告しました「メロスとディオニスは実はそっくり」というのは、これだけの話ではありません。基本的に授業では(あるいは生徒の一次感想などでは)「単純で正義感が強く人と人との信頼を何よりも大事にするメロス」と、「複雑で邪智暴虐で人は信じられないものだと思い込んでいるディオニス」は、真逆、対照的な性格と捉えたうえで進められていくと思います。でも「自己満へそ曲がり流読解」では、それは太宰の計算づくのミスリードであると考えます。表面上は正反対に見えますが、二人の心理描写や台詞を見比べていくと、ハッキリと類似点が浮かび上がってきます。その類似点とは何かというと、ズバリ二人とも「人からどう見られるかを異常に気にする」こと、さらに言えば「二人とも外聞を計算した演技派である」ということです。例を挙げてみますと、

【ディオニス】

○静かに、けれども威厳を持って問い詰めた。○王は憫笑した。○落ち着いてつぶやき、ほっとため息をついた。○さっと顔を上げて報いた。○しゃがれた声で低く笑った。○残虐な気持ちでそっとほくそ笑んだ。○だまされたふりして、放してやるのもおもしろい。○わしは悲しい顔して〜○正直者とかいうやつばらにうんと見せつけてやりたいものさ。

どうですか?自分の威厳を取り繕うためと、人々の目にどう映るかがしっかり計算された演技力がハッキリわかりますよね。もう一ヶ所、最後の場面の

○暴君ディオニスは、群衆の背後から二人のさまをまじまじと見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、顔を赤らめてこう言った。・・・の意味合いについてはまたいずれ触れますが、簡単に言いますとこの最後の場面でのディオニスは、明らかに最初の場面とは異なっています。その象徴が「その王の顔は蒼白で〜」からの「顔を赤らめて」という変化です。いわば「血の通った人間らしさを取り戻した」ことの表れですね。

それに対して【メロス】

○メロスは無理に笑おうと努めた。(演技)○お前の兄は、たぶん偉い男なのだから〜○メロスの弟になったことをほこってくれ。(数日後に「英雄としての自分の死が伝えられるだろう」という含みのアピール)○人の真実の存するところを見せてやろう。○笑ってはりつけの台に登ってやる。(モロに演技)○私には、今、なんの気がかりもないはずだ。(自分に言い聞かせて強がる)○(闇堕ちするシーンはほとんどが外聞を気にした言い訳なのですが、その中でも)○真紅の心臓をお目にかけたい。○この心臓を見せてやりたい。○私はきっと笑われる。私の一家も笑われる。(この家族を気にするあたりは日本的な感じがしますね。)○ 私は、永遠に裏切り者だ。○地上で最も不名誉の人種だ。(この自分の名誉を気にするあたりにも、古き日本の体質を感じます。)

いかかですか?細かく見れば他にもたくさんありますが、メロスもディオニスも、外聞を非常に気にすること。そして色々と演技をしている、あるいはしようとしていることがお分かりになると思います。「見せつけてやりたい」と「見せてやろう」はほとんど同じ言葉ですよね。決してメロスは「単純な男」ではなかったのです。

このあたりの心理描写は、ほとんど原典では出てきません。(しいていえば「残虐な気持ちでそっとほくそ笑んだ。」のところくらいでしょうか。)では原典とは違う、打算的なところすら見える、弱い心を全面的に見せたメロスは魅力が薄れてしまったか?というとそうではない。むしろいかにも「人間らしさ」がありありと見える、等身大の身近さを感じさせてくれています。

この「外聞をひどく気にする」のは、モロに太宰自身の性格の投影でしょう。(私は太宰の熱心な読者ではなく、「人間失格」「斜陽」あと1、2冊しか読んでいませんが、「人間失格」の中で、主人公がワザと道化を演じて鉄棒から落ちたのを、同級生に見透かされて「ワザ、ワザ」と言われてものすごく恥ずかしい思いをした、という辺りからもわかりますね。)ずっと英雄的だった原典どおりではなく、ダメな人間が真っ当に立ち直ること、いわば太宰自身を含めた、世のダメ人間を「善し」とする気持ちが感じられるのですが、いかがでしょうか?長くなってきましたので今回はここまでとしますが、シリーズはもう少し続きます。

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太宰治「走れメロス」についてのあれこれその⑤

フィロストラトス(年齢不詳)の言動を並べてみると、確かに支離滅裂なところが目立ちます。ちょっと引用してみますと・・・

「もう、だめでございます。むだでございます。走るのはやめてください。もう、あの方をお助けになることはできません。」「ちょうど今、あの方が死刑になるところです。ああ、あなたは遅かった。お恨み申します。ほんの少し、もうちょっとでも、早かったなら!」「やめてください。走るのはやめてください。今はご自分のお命が大事です。あの方は、あなたを信じておりました。刑場に引き出されても、平気でいました。王様がさんざんあの方をからかっても、メロスは来ますとだけ答え、強い信念をもち続けている様子でございました。」「ああ、あなたは気が狂ったか。それでは、うんと走るがいい。ひょっとしたら、間に合わぬものでもない。走るがいい。」

太宰がフィロストラトスを何歳くらいに設定しているのかは不明ですが、十代の弟子だとしたらこの口調に、ちょっと違和感を感じるのは私だけではないと思います。まぁせいぜいセリヌンティウス25歳、フィロストラトス20歳くらいなら何とか納得もいきますが、でもやはり「弟子」ってのがやっぱりひっかかりますね。(「あの方」なんて言い方には、敬意よりはどちらかというとBLのにほひがそこはかとなく・・・私もいい歳して腐った方に発想がいっちゃってるなぁ。)とにかく、「走るのはやめろ=セリヌンティウスが処刑されてメロスは放免されろ」と言ってるわりには恨み言を言ったり、セリヌンティウスが最後までメロスを信じていた、とか言って罪悪感を煽ったりと、矛盾を感じる「マッチポンプ」発言ばかりです。(もちろんこんな異常な状況だし、フィロストラトスはまだ若いのだから混乱して訳の分からないことを言ってる、とは理解出来ますけど。)そして最後には、呆れかえってしまったのか敬語すら使わず、むしろ上から目線の、あきらめ感のただよう尊大な口調にすらなっていますよね。

f:id:ponkotsu1000sei:20220102121522j:plain馬鹿馬鹿しすぎて結構ツボw

ここで自己満へそ曲がり流に引っかかりを感じるのは、「今はご自分のお命が大事です。」というセリフです。これは原典にはない言葉なので、太宰の創作となりますが、よく考えたらこの言葉ちょっと変じゃないですか?この段階では「間に合えばメロスが処刑されセリヌンティウス解放、間に合わなければセリヌンティウスが処刑されメロス解放」というルールですから、ギリギリ間に合わなくても全然間に合わなくても、メロスは解放されるわけです。「もう間に合わない」と思っているのならば、何にしてもメロスは処刑から逃れることができるわけです。だとしたらこの「お命が大事」というのは、「この場から逃げろ」と言っているのでしょうか?それもおかしいですね。逃げようが逃げまいが、間に合わなければメロスの命は助かるのですから。だとしたら、「走ると命に関わる」とはどういうことか。これはおそらく、フィロストラトスに出会う直前の、この表現と関連するのではないでしょうか?

風体なんかはどうでもいい。メロスは、今は、ほとんど全裸体であった。呼吸もできず、二度、三度、口から血が噴き出た。

つまり、フィロストラトスに出会った時に、メロスは濁流、山賊との戦いで衣服がボロボロになり、ほぼ全裸で、口から噴き出た血で口元や胸元が血まみれになって走ってきたわけで、それを見てフィロストラトスは、①「このまま走り続けたら、さらに血を吐いて刑場に着く前に死んでしまう」と思ったから走るのをやめさせようとした。②全裸で血まみれの、狂人としか思われない「風体」なので、本当に狂ったと思いあきらめた。・・・のではないかと思うのですが、いかがでしょう。

そして太宰の最大の変更点04 原典ではメロスは裸ではないが太宰は裸で血まみれの「風体」にした、ことの理由は、この「走れメロスについてのあれこれ」シリーズの一番最後にまとめようと思いますが、自己満へそ曲がり流読解では、このメロスが「狂人にすら見える、血まみれで全裸の、ひどくみっともない風体であった。」ことは、以前触れていた「ディオニスが改心したのは、メロスが裸だったから~。」に関わる、重要な伏線となると考えています。さて、次回からは「メロスとディオニスの人間性は実はそっくりだった」ことについて考察していきますよろしければまたのお目通しをお願いします。(このシリーズはまだしばらく続ます。)

 

 

太宰治「走れメロス」についてのあれこれその④

原典「人質」と「走れメロス」の変更点について、これまでに

変更点01 原典では書かれていない、ディオニスの人格変化が書かれていること。

変更点02 原典では話を聞いて感動しているが、太宰は実際にその場で目撃させている。

・・・の2点について考察してきました。今回は変更点03 原典ではメロスは元々シラクスの町の住人であり、フィロストラトスはメロス自身の弟子であったが、「走れメロス」では十里(約40キロ)離れた村の羊飼いにされていて、フィロストラトスシラクスの町に住むセリヌンティウスの弟子にされている。という点について考えてみようと思います。

走れメロス」では、セリヌンティウスとメロスは「竹馬の友」であり、「今はこのシラクスの町で石工をしている」ということは、セリヌンティウスはメロスと同じ村出身で、途中からシラクスの町に行き、石工の修行をして親方になり、弟子としてフィロストラトスを雇っている、という設定になります。(因みに生徒はほぼ例外なく「竹馬の友」の「ちくば」を「たけうま」だと思っていますが・・・

f:id:ponkotsu1000sei:20211231092012p:plain←「ちくば」はこういうヤツです。高齢者ならば「ロンパールーム」で似たような遊びをしていたのを覚えてませんかね?ギャロップとか言っていた気がします。ケロンパってもうお亡くなりでしたっけ。話戻って)

原典のイメージだと、メロス自身が弟子を持つ何らかの職人の親方で、おそらく年齢としては20代後半から30代前半、あるいはもっと上?くらいの印象を受けますが、「走れメロス」の授業で生徒にメロスのイメージを聞くと、(妹が16歳という設定もあり)20~20代前半、くらいの若いイメージを持つようです。では仮に、ここで25歳と仮定してみましょう。そうすると色々妙な点が出てきますね。まず妹とかなり年が離れていることになる。両親も居ない設定なので、若くして妹の面倒を見てたので老成した、とは考えられますが、ということは竹馬の友であるセリヌンティウスも25歳くらいですよね。となると弟子であるフィロストラトスはいったい幾つなのか?徒弟制度のイメージだと10代後半くらいでしょうか?それにしてはずいぶんと言葉遣いなどがじじむさい落ち着きすぎてませんかね?(ネット上で見た別の方の和訳では、フィロストラトスが弟子ではなく、メロスの家の使用人になっています。曰く、「メロスに、家の実直な守り手、ピロストラートスが向って来て、主人を驚いて認める。」これだったとしたらこの言葉遣いや、主人を心配する気持ちもすごく納得がいきます。)

太宰がメロスを、シラクスの町の住人ではなく、十里離れた牧歌的な村の呑気な青年に設定した理由を考えてみます。

推論その1 原典通りメロスが元々シラクスの町の住人だったとしたら、「こんなにたくさんの人が殺されるまで黙っていたのに、何故かいきなり暗殺を思いついた?」」ということになってしまう。

推論その2 そもそも「結婚もしていないのになぜ妹だけ別の町にいるのか?」という原典の意味不明な状況を、より自然な設定に出来る。

推論その3 このブログの、その②に書いたように、ディオニスの心境変化のシーンを入れるために、「2年ぶりに」この町に来た設定にするため、十里離れた村の住人に設定した。その結果、原典通りフィロストラトスがメロスの弟子だったら、村に残っていることになってしまい、刑場の手前で会うことが出来なくなるので、フィロストラトスセリヌンティウスの弟子に変更した。

・・・というところでしょうか。推論があっているならば、多分その3が一番大きな理由ではないかと思いますが、いかがでしょう?

それにしても、セリヌンティウスの唐突な登場については、やはり生徒の中にも違和感を感じる生徒がいるようで、中にはセリヌンティウスもディオニスに命じられて(買収されて?)メロスの邪魔をしにきたのではないか?」と考える生徒もたまにいます。それは違うと思いますが、こういう発想は大事にしたいと思いますね。実に面白い。ところが大人でも似たようなことを考える人がいるようでして。最近知ったのですが、昔のパチスロに「走れメロス」というレア台があったらしいんですよ。

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もう見るからにツッコミどころ満載で、(キャラクターがモロに巨〇の星)フィロストラトス(モロに花〇満)の説明に「メロスに諦めるようにそそのかす」とあるように、液晶画面で「諦めずに走ればボーナス継続」「諦めたらボーナス終了」という、何だかよくわからないけどちょっとオモシロそうな台です。やっぱりセリヌンティウスについては違和感を感じる人があちこちにいたということでしょう。その、セリヌンティウスの言動に対する違和感については、次回考えてみたいと思います。併せましてご覧くただいている皆様、新年あけましておめでとうございます。よろしければまた読んでやってください。

 

 

 

 

なんちゃってキャンパーの密かな楽しみその4

走れメロスについて書こうと思ってたのですが・・・

ずっと雪が降らないでいた北海道も、ついにまとまった雪が降り、根雪になるようです。ある晴れた日の午後、思い立って「キャンプとは言わないまでも(というかそもそも冬装備がないので)ちょいと外でメシくらい食べてみようか?」ということで、ポンコツ装備で外メシを試してみました。(外気温マイナス3~4度)

まず取り出したポンコツ装備その1 プリムス2243(細かい品番は分からず。とにかく買ったのは30年くらい前。物持ち良すぎ?おまけにOD缶、一体いつのだよ350円て)

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袋も破けていたのを縫い付けてあります。これでお湯を沸かしてカレーめんなど・・・

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ビッグサイズな上に、残り汁におにぎりをぶち込む予定(何カロリーだよ!)

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イスはワークマンで1500円ナリ。

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古いので点火装置がありません。ライターとグローブはイスと同じくワークマン。

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ところがやはりしばらくつかっていなかったせいか、どうもお湯の沸くのが遅い。ここでポンコツ装備その2に変えます。

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ポンコツ装備その2、プリムスP-171に変えました。(これも廃番だとか。)

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なんとかお湯が沸きまして、待つことしばし。

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(テーブルはリンちゃんと色違い)カレーヌードルめんは日常でも結構しばしば食べてるのに、寒い中外で食べるとまた味が全然違うような?(辛く感じる。)

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残り汁におにぎりをぶち込んで

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混ぜたらおにぎりがすっかり冷え切っていて、一気に汁の温度が下がってしまい、うまく混ざらないし見た目がなんか汚いし、おまけに冷たくなってしまって味が微妙・・・下手こいたぁ~!(小島よしお風)

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でもまぁ久々に外でメシ食べただけでも、ちょいと面白かったのでした。また天気の良い日に何か作ってみようと思います。なんちゃってポンコツキャンパーでした。

 

 

 

太宰治「走れメロス」についてのあれこれその③

さて、前回からの続きです。もともとは寛大な王であったディオニスが、なぜ「邪知暴虐」「奸佞邪知」の暴君になったのか?これは授業の中でも軽いジャブとして有効な発問ですが、前回書いたとおり、この部分は原典になく、全くの太宰の創作になります。「若い衆」との会話から考察してみます。

「王様は、人を殺します。」
「なぜ殺すのだ。」
「悪心を抱いているというのですが、誰もそんな、悪心をもってはおりませぬ。」
「たくさんの人を殺したのか。」
「はい、初めは王様の妹婿様を。それから、ご自身のお世継ぎを。それから、妹様を。それから、妹様のお子様を。それから、皇后様を。それから、賢臣のアレキス様を。
「驚いた。国王は乱心か。」
「いいえ、乱心ではございませぬ。人を信ずることができぬというのです。このごろは、臣下の心をもお疑いになり、少しく派手な暮らしをしている者には、人質一人ずつ差し出すことを命じております。ご命令を拒めば、十字架にかけられて殺されます。今日は、六人殺されました。」
 聞いて、メロスは激怒した。「あきれた王だ。生かしておけぬ。」

以上の内容から推測するにあたって、その理由は棒線部、王が「殺していった順番」が鍵になるのは間違いないでしょう。その上で生徒に発問すると、だいたい、「妹婿と世継ぎである王子が結託して王を暗殺して、王位簒奪しようともくろんだ。」というような「いかにも」ありそうなストーリーを考え出すことはできますし、おそらく太宰もその線で設定していたのではないかと思います。つまり、

①いつまでも元気なディオニス王に取って代わるため、王子が妹婿(義理の叔父)をそそのかし暗殺させようとするが失敗→妹婿死刑②妹婿が死刑になる前に尋問をうけ、王子と共謀したことを自白→王子死刑③事情を知らない妹が王に猛烈な抗議→妹もグルかと思う→妹死刑④妹の子(甥?姪?)が、両親を殺されたことを恨みに思い襲撃orディオニスが復讐されることを恐れる→妹の子死刑⑤皇后から狂人扱いとか批難され激高する→皇后死刑⑥賢臣というくらいだから国の行く末を案じたアレキスが命がけで諫言→激高して死刑

・・・なんて裏設定を考えていたのではないかと思います。(ちょっとシェークスピアっぽいかも。)これくらいのことがあれば、「人を信ずることができぬ」と疑心暗鬼を生じても、まぁ理解はできますよね。もとは善良で寛大だった王が、人間不信に陥る合理的な設定をつけたいがために、太宰治はこの前段を付け加えたのでしょう。

・・・ということで、まぁわかりやすいストーリーの一例を示して、授業の内容を進めればいいものを、「自己満へそ曲がり流」では、露悪的で余計な一言を言ったりするんですねこれが。(ヨセバイイノニネ、コノゴジセイニ。ヒソヒソ)

曰くポンコツ先生的には違うストーリーを考えます。まずですね、妹婿と皇后様が不倫をするんですよ。あるいは不倫をしたとディオニスに勘違いされるんですよ。」(こんなの中学生に言う必要性ゼロですよね。何をやってんだか。)そして娘婿を殺し、お世継ぎを(この場合幼児とか子どもっぽくなりますね。)「実は俺の子ではない!」として(あるいは思い込んで)殺し、あとはまぁ王位簒奪説と同じですが、この不倫説のポイントは、「身内で最後に殺したのが皇后である」ことです。つまりディオニスは、皇后を心の底から愛していた。だが妹婿に心変わりしていた皇后の気持ちを最後まで取り戻すことができなかったので泣く泣く殺した。あと、勘違い説だと、最後まで不倫を認めることがなかったので(勘違いなので当然)とうとうブチ切れて殺した。というへそ曲がり流昼ドラ的設定ですが、どうですか?・・・(中学生には結構賛同されましたけど、まぁ日本広しといえどこんな馬鹿な授業してる先生はいないでしょうね。)で、

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と、JKに叱られたところで、次回は原典との違いその3について書かせていただきます。お時間があればまた読んでやってください。

 

太宰治「走れメロス」についてのあれこれその②

前回ご覧いただいたように、「走れメロス」と、その原典?であるシラーの「人質」を見比べるとさまざまな変更点があります。当然太宰治が、何らかの意図を持って変えたのだ、と考えるのが普通だと思います。まずはその相違点のうち、主だったところをピックアップしながら、意図を考察していこうと思います。あくまでも文面の表現から読み取れることに絞っていきます。

まずは変更点01 そもそもメロスは激怒していない、というか、原典ではいきなりメロスが捕まった所から始まっている。

さて、この変更点について考えます。

まず冒頭の一文、「メロスは激怒した。」は、ご存知の通り最後の一文、「勇者(=メロス)はひどく(=激)赤面(=怒)した。」というオチ?につなげるための、果てしなく遠い伏線として書いてあるのは間違いありませんね。このオチについてもまた別の折に触れようと思います。

では次に、なぜ太宰は、メロスが捕まる前に街の様子や若い衆、老爺を登場させ、暴君ディオニス(別の原典ではディオニュソス)に関する描写を入れたのか?・・・について触れる前に、私の「走れメロス」での、一番の「自己満へそ曲がり流授業」の内容をお伝えします。それは

「最後にディオニスが改心したのは、メロスとセリヌンティウスの二人の信頼や友情に感動したから、ではないぞ!」

ということです。実際、生徒にこの「なぜ暴君は改心したか?」という発問は定番、というか100%の国語教師がするでしょうし、ほとんどの生徒が「友情に感激したから」と答えるでしょう。そして、日本広しと言えども、「それは違う!」と授業をしているへそ曲がりは、そうそういない(・・・と思いますが、「いや、それも私の、独りよがりか?ああ、もういっそ、悪徳者として以下略。」)

では私はなんと教えているか。チコちゃん風に言いますと

「ディオニスが改心したのは、メロスが裸だったから〜。」

・・・物を投げないでください!物を投げないでください!・・・

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はい、なんだそりゃ!ふざけてんのか!とお思いでしょうね。生徒もこれを言うと「はぁああ?」って顔をします。でも大真面目です。不審に思われる方も、これから先、走れメロスについてのあれこれをアップしていくなかで、「なるほどそんな考え方があるのか。」と思ってくれれば幸いです。情報はちょぼちょぼ小出しにしていきますので、続けて読んでいただれるとありがたいです。

話戻りまして、なぜ太宰はディオニスについての情報を入れたのか。それは「走れメロス」において、ディオニスと原典のディオニュソス王とでは、違う人格に設定したかったからだと思います。

ちょいとウィキを引けば出てきますが、史実のディオニュソス王は(ウィキではまた表記が違っていて)

ディオニュシオス1世あるいはディオニュシオス古希Διονύσιος ο Πρεσβύτερος紀元前432年ころ - 紀元前367年)は、現在のイタリア南部シチリア島にあった都市シュラクサイ(現在のシラクサ)を支配した、ギリシア人の僭主ディオニュシオス1世はシチリア島内やイタリア半島南部の数都市を征服し、カルタゴの勢力がシチリア島へ及ぶことに抵抗して、シュラクサイを古代ギリシアの西方植民都市の中でも最も有力なものに成長させた。古代の人々の間で、ディオニュシオス1世は、残虐で猜疑心が強く、執念深い、最悪の暴君のひとりと見なされていた。

とあります。つまり「リアル暴君」だったわけで、「もともと」猜疑心の強い暴君が、人を信じてみようと思うようになるのと、「もともと」は「皆が歌を歌って、町は賑やか」であることを許す「良い王様」だったディオニスが、元通りになるのでは全く設定が違います。原典では「悪」→「善」ですが、「走れメロス」では「善」→「悪」→「善」という「改心」です。数多くの人を殺したにもかかわらず、ディオニスが改心したのを聞いた群衆に「万歳、王様万歳。」と言われるということは、「あのとても寛大だったディオニス王が戻ってきた!」という喜びの表れでないと、つじつまが合いません。(逆に、「人質」の「最悪の暴君」が、「話を聞いただけで素直に感動し改心する」というのは、どうも嘘くさい感じがしませんか?)太宰は単純に「悪人に良心が芽生える」話ではなく、「もともと善良だった人間が闇堕ちして、そこから立ち直る。」という設定にしたかったのではないか?そう考えた時に・・・あれ?これってメロスの一連の心の変わりようと全く同じではないですか?

このことだけに限らず、第二の「自己満へそ曲がり流授業」として教えているのが、

「メロスとディオニスは実は性格がそっくりだ。」

ということです。(これもあちこちからクレームが来そうですね。)オーソドックスな授業では、メロスとディオニスを「複雑で人を信じられない邪悪な心のディオニス」と、「単純だが人を疑う気持ちを憎む正義の人メロス」という、正反対な性格の二人としてとりあげるでしょうし、生徒も疑いなくそう読み取るのではないでしょうか?

しかしながら明らかに太宰は、メロスとディオニスをある性格の一点において、非常によく似た特性を持たせて書いています。いずれその「メロスとディオニスの類似点」についても書いていく予定です。

(あ、そういえば変更点その2 原典ではディオニスは刑場には居なくて、話を聞いて感動したことになっているが、「走れメロス」では刑場で実際に現場を見ている。この「刑場で実際に現場を見ている」ということについては、上で書いた「裸だったから」と密接に関係があるので、そのときに併せて考察したいと思います。)

長くなりましたが、次回は「ディオニスが暗黒面に墜ちた理由」について考察してみようと思います。これも原典には全く無かった描写ですので、当然太宰の思惑が入っていますよね。さてそれは何なのか?次回もお時間があれば読んでやってください。

 

 

太宰治「走れメロス」についてのあれこれ①

えーと・・・とうとう禁断の教材に手を出すことにしました。

日本中の中学生を含む老若男女に熱狂的ファンが多く、下手なことを書こうものなら罵詈雑言脅迫怨嗟の声を浴びせられること請け合いの、「太宰治」です。何度も言いますが、個人的に特に太宰に詳しいわけでもなく、教材研究を突き詰めたわけでもなく、あくまでも教科書と、「走れメロス」の原典であるシラーの「人質」の(それも現代語訳の)見比べと、後は指導書をちょっと見たくらいというレベルの私が、超ロングセラー&ベストセラーのこの教材についてツッコミを入れようとしております。(大昔の古舘伊知郎なら「おおっとこれは、まさにやせ馬にまたがり風車に突進するがごとき無謀、現代によみがえったドン・キホーテかぁ~!」とか煽る感じでしょうかね。)

ところでまずは、多くの国語教師がやっている「人質」との違いを見つけ、太宰がそう変えた理由などを考える授業で使われる現代語訳ですが、ネットを探すと何種類か見つかりました。その中でもご親切に「ご自由にお使いください」という「MITSUYUKI」さんのブログからお借りして紹介します。(何カ所か中学生向きに表現を変えてある所があるとのことです。)

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シラーの “Die Bürgschaft Ballade” と小栗孝則訳「人質 譚詩」

 暴君ディオニスのところにメロスは短劍をふところにして忍びよった。警吏は彼を捕縛した。

「この短劍でなにをするつもりか?言へ!」険悪な顏をして暴君は問いつめた。

「町を暴君の手から救ふのだ!」

「磔になってから後悔するな」

「私は」と彼は言った。「死ぬ覺悟でいる。命乞いなぞは決してしない。ただ情けをかけたいつもりなら、三日間の日限をあたえてほしい。妹に夫をもたせてやるそのあいだだけ、その代わり友逹を人質として置いておこう。私が逃げたら、彼を絞め殺してくれ。」。それを聞きながら王は殘虐な氣持ちでほくそ笑んだ。そして少しのあいだ考えてから言った。

「よし、三日間の日限をおまえにやろう。しかし猶予はきっちりそれ限りだぞ。おまえがわしのところに取り戾しに来ても、彼は身代わりとなって死なねばならぬ。その代わり、おまえの罰はゆるしてやろう。」。さっそく彼は友逹を訪ねた。

「じつは王が、私の所業を憎んで磔の刑に処すというのだ。しかし私に三日間の日限をくれた妹に夫をもたせてやるそのあいだだけ、君は王のところに人質となっていてくれ。私が繩をほどきに帰ってくるまで。」無言のままで友を親友は抱きしめた。そして暴君の手から引き取った。その場から彼はすぐに出発した。

そして三日目の朝、夜もまだ明けきらぬうちに、急いで妹を夫と一緒にした彼は、氣もそぞろに帰路をいそいだ。日限のきれるのを恐れて。

 途中で雨になった。いつやむともない豪雨に、山の水源地は氾濫し、小川も河も水かさを増やし、ようやく河岸にたどりついたときは 急流に橋はさらわれ、轟々とひびきをあげる激浪がメリメリと橋桁を跳ねとばしていた。

 彼は茫然と、立ちすくんだ あちこちと眺めまわし、また声をかぎりに呼びたててみたが、つなぎ舟は殘らず、さらわれて影なく 目ざす対岸に運んでくれる渡し守りの姿もどこにもない。流れは荒々しく海のようになった。彼は河岸にうずくまり、泣きながらゼウスに手をあげて哀願した。

「ああ、しずめたまえ,荒れくるう流れを!時は刻々に過ぎてゆきます、太陽もすでに真昼時です。あれが沈んでしまったら、町に帰ることが出來なかったら、友逹は私のために死ぬのです。」 急流はますます激しさを增すばかり、波は波を巻き、あおりたて、時は刻一刻と消えていった。彼は焦燥にかられた。ついに憤然と勇氣をふるい、ほえ狂う波間に身を躍らせ、滿身の力を腕にかけて流れをかきわけた。神もついに憐憫を垂れた。やがて岸に這いあがるや、すぐにまた先を急いだ。

 しばらく行くと突然、森の諳がりから一隊の强盜が躍り出た。行手に立ちふさがり、一擊のもとに打ち殺そうといどみかかった 飛鳥のように彼は飛びのき打ちかかる弓なりの棍棒を避けた。

「何をするのだ?」驚いた彼はあおくなって叫んだ。

「私は命の外にはなにも無い それも王にくれてやるものだ!」。いきなり彼は近くの人間から棍棒を奪い、

「不憫だが、友達のためだ!」 と猛然一擊のうちに三人の者を彼は殴り倒し、後の者は逃げ去った。

 やがて太陽が灼熱の光りを投げかけた。ついに激しい疲勞から、彼はぐったりと膝を折った。「おお、慈悲深く私を强盜の手から、さきには急流から神聖な地上に救われたものよ今、ここまできて、疲れきって動けなくなるとは。愛する友は私のために死なねばならぬのか?」 ふと耳に、せんせんと銀の音色のながれるのが聞こえた。すぐ近くに、さらさらと水音がしている。じっと声を呑んで、耳をすました。近くの岩の裂目から滾々とささやくやうに 冷々とした淸水が涌きでている。飛びつくように彼は身をかがめた。そして燒けつくからだに元氣をとりもどした。太陽は綠の枝をすかして、かがやき映える草原の上に巨人のような木影をえがいている。二人の人が道をゆくのを彼は見た。急ぎ足に追ひぬこうとしたとき、二人の会話が耳にはいった。「いまごろは彼が磔にかかっているよ。」。胸締めつけられる想いに、宙を飛んで彼は急いだ。彼を息苦しい焦燥がせきたてた すでに夕映の光りは 遠いシラクスの塔樓のあたりをつつんでいる。すると向こうからフィロストラトスがやってきた。家の留守をしていた弟子は、主人をみとめて愕然とした。

「お戾りください! もうお友逹をお助けになることは出來ません。いまはご自分のお命が大切です! ちょうど今、あの方が 死刑になるところです 時間いっぱいまでお歸りになるのを 今か今かとお待ちになっていました。暴君の嘲笑も、あの方の强い信念を変えることは出來ませんでした。」「どうしても間に合わず、彼のために 救い手となることが出來なかったら 私も彼と一緒に死のう、いくら粗暴な暴君でも、友が友に対する義務を破ったことを、まさか褒めまい。彼は犠牲者を二つ、処刑すればよいのだ。愛と誠の力を知るがよいのだ!」

まさに太陽が沈もうとしたとき、彼は門にたどり着いた すでに磔の柱が高々と立つのを彼は見た。周囲に群衆が撫然として立っていた。繩にかけられて友逹は釣りあげられてゆく。猛然と、彼は密集する人ごみをかきわけた。「私だ、刑吏!」と彼は叫んだ。「殺されるのは! 彼を人質とした私はここだ!」。がやがやと群衆は動搖した。

二人の者はかたく抱き合って悲喜こもごもの氣持ちで泣いた それを見て、ともに泣かぬ人はなかった。すぐに王の耳にこの美談は伝えられた。王は人間らしい感動をおぼえて、早速に二人を玉座の前に呼びよせた。しばらくはまぢまぢと二人の者を見つめていたが、やがて王は口を開いた。「おまえらの望みは叶ったぞ。おまえらはわしの心に勝ったのだ。真実とは決して空虛な妄想ではなかった。どうかわしをも仲間に入れてくれまいか。どうかわしの願いを聞き入れて、おまえらの仲間の一人にしてほしい。」

さていかがでしょうか?初見の方は特に、ご存じの「走れメロス」との数多い違いについてお気づきになることでしょう。次回から、色々な違いについて確認、考察し、太宰が作り替えた理由についての自己満へそ曲がり流読解と、授業の中での取り扱いについて書いていこうと思います。お時間があればまたご覧ください。

なんちゃってキャンパーの密かな楽しみその3

昔バイクでキャンプしていた時には、ファーストエイドキットなど持たずに(そもそもバイクでこければファーストエイドキットでは済みませんわな。)平気で過ごしていましたが、どうやらYouTubeでいろいろな方の荷物一覧を見ると、ファーストエイドキットはマストアイテムっぽいので、これまたちまちまと購入し、安上がりに色々と詰め込んでみました。

左側→白色ワセリン(○ルハ、ケースは100均)、ウェットティッシュ(試供品)、テープ、消毒用アルコールのガーゼ、伸縮包帯(100均)

 

f:id:ponkotsu1000sei:20211212202420j:plain右側→滅菌ガーゼ、ピンセット、ハイドロコロイドの絆創膏(100均)、消毒用軟膏(ツ○、レザーマンの小さいの(これまたいつどこで買ったものやら)・・・が入っています。(ポイズンリムーバー?を100均で探していますがなかなか見つかりません。)

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包帯を含めて全部入れてもきちんと閉まります。

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さあもう怪我なんて怖くない(わけがない。使わないに越したことはことは承知ですよ。こっちももういい歳ですから。)なんにしてもこの2つは欠かさず持って行くことにしましょうかね。

キャンプ動画を見るたびに、あれもほしい、これもほしい、どれもほしいもっともっとほしい・・・とブルーハーツの歌みたいな気持ちになりますが、ずっと使っていないポンコツキャンプ道具も、使えるだけ使っていき(探したらプリムスの2243のバーナー、ざっと30年物、なんてのも出てきました。着火装置が付いてないけどまだ使えました。)実際にキャンプに行くようになったら、まだブログに載せていくとして、ひそかにいろいろと長い冬が抜けた先のために、セコセコと準備していきます。自転車の方もそれらしく改造しようと思います。

キャンプ関連のネタは一度終了し、次回からはまた国語の教科書ネタを書いていこうと思います。お時間があればごらんください。

なんちゃってキャンパーの密かな楽しみその2

(結果的に宣伝になってしまいますが、決してステマのつもりはありません。)さて、前回載せましたYouTuberのFUKUさんプロデュースのギアケースとファーストエイドキットケース、実はあっというまに完売になったそうで、私が買えたのはかなり運がよかったようです。(ネンマツジャンボデソノウンヲツカエバヨカッタノニネ、ヒソヒソ〕ネットを見ると、マックスペディションなど他にもギアケースはあったのですが、なんと言っても値段がリーズナブルなこと(2つ合わせても4500円以内)と、キャンプ熱が再燃して最初に買った「モーラナイフ」が、丸々入ることが魅力でした。ちなみに今のところ入れている物は以下の通りです。

f:id:ponkotsu1000sei:20211213101533j:image まずは表?側

左側 モーラナイフヘビーデューティーステンレス(秀岳荘)、シャークソウ125mm(DCM)、ハンマー・木のスプーン(100均) 真ん中ファイアブラスター(ビーパル付録) 右側 ライター(ワークマン)、鍋つかみ、オイル入れ(100均)、着火剤(ポケットの中、100均)

続いて裏側

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左側 ミニ鉄板とスキレットカバー(100均)左側  スノーピーク先割れスプーン(アマゾン)とさらにスプーンとフォーク、ナイフのセット(メーカー不明、秀岳荘)、アルミの箸、ミニトング、箸置き(100均)、バックフォールディングハンター110(これは30年物、どこで買ったか忘れた)

おまけに背面側

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こんな感じでいろいろなところに取り付けられそうです。

まだまだある空きスペースに「何を入れようかな?」とニヤニヤしながらあれこれ考えているのが結構な楽しみになっています。北海道はとうとう本格的に雪が降りました。雪中キャンプもディキャンプなら可能性があるかな?よく晴れた日を狙ってちょっと昼飯を食べるだけでも行ってみようか?なんて思ってます。

f:id:ponkotsu1000sei:20211213103727j:image恥ずかしながら&今更ながらこれも購入して読み始めました。次回はにわか知識のファーストエイドキットを。