ポンコツ先生の自己満へそ曲がり国語教室

(高校受験には全く役に立たない)中学校の国語に関する話題を中心に書いてます。

「星の花が降るころに」についての考察その2

さて、色々突っ込んで読みたいところが満載のこの小説ですが、調査したわけではないし、詳しく教材研究をしたり、指導書を読んだりもしていないけれど、単純に文章表現だけから読解して、「ここ面白いところなんだけど、あまり触れている先生がいないなぁ」という箇所が結構あります。なぜ他の先生のことが分かるかというと、授業が終わった後で、他の国語の国語の先生の板書を見るのがルーティーンだからです。(チャントウチアワセスレバイイダケナノニネェ、ヒソヒソ)板書を見れば、おおむね教えている内容は想像がつきます。(もちろん、板書せずに口頭で触れている場合もあると思いますけれど。)で、前回書いた「戸部君が押されて主人公にぶつかってきた時」の話ですが、ぶつかってきて、「この問題わかんねえんだよ」と聞いてきた戸部君をにらんだ主人公が言うセリフ。

私だってわからない。いっしょだった小学生のころからわからないままだ。なんで戸部君はいつも私にからんでくるのか。なんで同じ塾に入ってくるのか。なんでサッカー部なのに先輩のように格好よくないのか。

・・・99%の先生が、この3つの疑問について生徒にこう発問するでしょうし、学級によりますけど多くの生徒はこう答えるでしょう。

発問1「なんで戸部君はいつも私にからんでくると思う?」答え「主人公のことが好きだから!」(若干名「え!そうなの?」と驚く生徒がいるのがデフォ)

発問2「なんで同じ塾に入ってくると思う?」答え「主人公のことが好きだから!」(発問1より多めの生徒が「え!そうなの?」と以下略)

で、発問3は結構難問で、「なんでサッカー部なのに先輩のように格好よくないと思ったと思う?(言い方!)」答え(かなりシャレっ気のある生徒が)「私だってわからない。」(←この答えはセンスがあると思いましたね。)

(かなり読解力のある生徒がおずおずと)「サッカー部のだれかといつもじゃれあっていて、本気の喧嘩とかばかりしてるので、先輩と比べてガキくさく感じたから。」

うん、中学生の回答としてはこれで満点だと思います。しかしながら、「自己満へそ曲がり流」の読解ではもう少し突っ込んだ回答を期待したい。それは何かというと(まぁいないと思いますが、もしこのブログを読んでくれている、中学生の読者がいたら考えてみてください。)こういう読み取りを期待したい。

「気づいてないだけ」

・・・なんだそりゃ?と思うでしょうね。事実今まで他の先生の授業後の黒板を覗いて見ても、「ガキくさい子供っぽいと思っていたから」という板書はあっても(1割くらい)「気づいてないだけ」という板書は見たことがありません。だから、そこまで教えている(私のような自己満でへそ曲がりの)先生はあまりいないのだと思います。ただ、私的にはこの「本当は格好よくなってたんだけど、主人公が気づいていないだけ」という見方は、後々テーマにも関わってくる大事な読み取りだと考えています。この小説の最も大切なテーマは、「主人公の気づきと成長」だからです。

では、主人公の「格好よさ」はどのあたりからうかがえるか。これについてはほとんどの先生が触れていると思います。(以下、教科書を読んだ人限定になってしまいますが悪しからずご了承ください。)

①主人公が「繊細さのかけらもない」と思っていた戸部君が、凹んでいた私を元気づけるために、「伏線を活かして」「自然な感じで」笑わせてくれたこと。←これってかなり繊細で高等なテクニックですよね。もしも「お前、夏実とトラブってただろ?大丈夫か?」なんてストレートに聞いたりしたら、主人公どうなっていたでしょうね?

②「ちゃんと向き合ったことがなかったから気づかなかったけれど、私より低かったはずの戸部君の背はいつのまにか私よりずっと高くなっている。」・・・いつのまにか「ガキくさいチビ助」じゃなくなっていることに、初めて気づいた瞬間ですね。それも「ずっと」高くなってて、格好いいじゃないですか。そして何といっても、

③「サッカー部のだれかといつもふざけてじゃれ合っている」はずの戸部君が、ふと気づくと、「サッカーの練習をしているみんなとは離れた所で、一人ボールを磨いていた。」「日陰もない校庭の隅っこで背中を丸め、黙々とボール磨きをしている戸部君」

・・・格好いいじゃないですか!主人公が「おい」と声をかけられただけで、ずっと耳になじんでいた声だからすぐわかる戸部君とは、まったく違う姿の彼がそこにいます。(声変わりしてないのかよ?という野暮なツッコミはなしにして)主人公が過去に囚われて足踏みしている間に、戸部君は実は格好よく成長していたんです。ただ、主人公は「ちゃんと向き合ったことがなかった」から、「気づいてないだけ」なんです。(そういえば、2年生の教科書の最初には「見えないだけ」という詩が載っていましたね。)

で、この③の時に主人公が思い出した、かつて戸部君が主人公に言ったセリフ。これについてもほぼ触れている先生がいなかったので(当社比)次回はこのセリフについて読解していきます。以前触れた「違和感」が大いに関係してきます。近日公開、お時間があれば読んでやってください。(ヤバイ!2000字を超えてしまった。駄文長文失礼しました。)ではまた。

f:id:ponkotsu1000sei:20211023170701p:plain